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【映画】秋刀魚の味 小津安二郎

こんにちは。
小津安二郎監督の最後の作品である秋刀魚の味をみました。偶然かもしれませんが、小津作品の集大成としか言えない名映画でした。

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1.主要登場人物

平山周平 (演 : 笠智衆)
サラリーマン。妻を亡くし、長女(路子)と次男の3人で暮らす。
平山路子(演 : 岩下志麻)
周平の長女。実施的な本作の主人公。
平山幸一 (演 : 佐田啓二)
周平の長男。路子の兄。妻(秋子)と団地暮らし。秋子の尻にひかれている。
平山秋子(演 : 岡田茉莉子)
幸一の妻。
佐久間清太郎(演:東野英治郎)
周平の恩師。今はラーメン屋を営む。通称 ”ひょうたん”。娘と住んでいる。

2.あらすじ

 話は、平山周平が旧友と飲みながら恩師である”ひょうたん”を含め同窓会を企画するところから始まる。後日、同窓会を開き大いに盛りあがり、飲みつぶれたひょうたんを家に送迎した。そこは古めかしい雰囲気のラーメン屋だった。店の中にはひょうたんの娘(杉村 春子)がおり、周平を迎え入れる。周平は、そのラーメン屋から未来のない孤独な悲しみを感じていた。

  周平はラーメン屋出来事を気に娘である路子の結婚を気にしだす。古風であるが行き遅れないか心配になったのである。これは、妻を亡くした結果、路子が平山家の主婦のような立場になってしまっている現状からも出た思いでもある。

  その後、周平は、長男である幸一に路子に合う人がいないか聞いたところ、どうも路子が好意を寄せている男性がいることがわかった。そのため、その人との結婚に向けてになると思いきや、その男性は寸前の差で別の人と婚約してしまった。その結果、路子は別の男性とお見合いをして結婚することになる。

  日がたち結婚式の当日となった。白無垢姿の路子は、平山邸を後にする。その後に礼服姿で周平は行きつけのbarに赴いた。店員から「何があったの?」と聞かれると周平は「葬式みたいなもんだよ」と呟く。

3.感想

 いわゆる小津調の映画である。家族と老いの孤独がテーマである。あらすじは本筋ばかりを記載したため、シリアスな展開ばかりに思えるかもしれないが、コメディタッチのシーンも結構多い。特に幸一と秋子のやり取りは和やかな雰囲気になる。(私はこの映画の秋子が映画の中で一番かわいらしい女性だと思っている。)ほかにも周平が同級生と会話するシーンなんかもコメディ的なセリフが非常に多い。そのため、重めのテーマの映画に思えるがフワッと心に簡単に入ってくる。このあたりも小津映画らしい映画である。

 映画自体は60年の前の映画であるため、古き良き昭和を感じることができる。昭和というか戦後と言う表現が適切かもしれない。今じゃ少なくなったが、登場する女性の名前も○子という名前ばかりだ。幸一が住んでいる団地は、レトロな雰囲気がいい。また冷蔵庫や掃除機を割賦払いで買う時代である。何気に面白いと思ったのは、秋子が会社の帰りにハンバーグをテイクアウトしてきたのである。何でもないシーンであるが、 なんとなく洋食が当たり前になるのは昭和50年や60年くらいからかと思っていたため、 昭和37年(1972年)という時代においてハンバーグが家庭向け食事だったのか・・と妙に感心してしまった。(ハンバーグの映像自体が劇中に出てこないは残念)

 話を小津テーマに戻すとこの映画で感じるのは、老いの孤独である。最後に路子が結婚し残される周平もそうであるし、娘とラーメン屋をしているひょうたんからも孤独を感じる。周平からは、単純に娘が旅立ちこれから次男と二人だけになってしまうという寂しさも感じる。ただその中に安どしている心境を感じることができる。ひょうたんは、孤独というよりも後悔の念が出ている孤独感である。これから自分が死んだら娘は独りぼっちになってしまうそんな心境だろうと思う。こう考えると人は、どう生きても結局孤独に行き着くのだろうか?

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